6月9日のブログに書いていたお客様のところへ訪問して来ました。
いよいよ公正遺言証書の作成日です。
数回にわたり事前の打ち合わせをし、遺言内容を相続手続支援センターのTさんにお伝えし、公証役場の公証人と遺言内容の打ち合わせをしていただきました。それを公証人が、文章化した原本を持ってお客様のご自宅へご本人確認と意思確認に来られます。
公正遺言証書は公証人以外に証人が2人必要です。今回は私と、相続手続支援センターのTさんが証人になりました。あと、死後にこの遺言の通りの手続きを行う人(遺言執行者と言います)を指名して遺言書に記載します。今回は娘さんが執行者になります。
公証人との面談には相続人や財産をもらう人は同席できませんので、別室でお待ちいただきました。
当たり前なのですが、
相続人になる予定の方から無理やり書かされたのではないか
本人の意思がきちんと反映されているのだろうか
ということを確認するようです。
特にご高齢になると認知症になっていないかということも確認されます。なので、
訪問した時に玄関からお部屋まできちんと片づけられているか
ということもとても重要です。
今回はかなりご高齢の方ですが、お部屋はいつもきれいな方なので心配はしていませんでした。
Tさんからは、一般的に本人確認と誰に手続きを任せるか、資産を誰に相続するのかを公証人が確認をするとお聞きしていましたが、今回は・・・
生年月日と名前・住所・年齢などご本人確認からスタートし、すでに他界されているご主人の名前、遺言執行者は誰なのか、娘さんやお孫さんの名前を公証人が持参していた家系図を見ながら確認していました。資産内容等も質問されました。所有している不動産、預貯金のある金融機関名等、私が想像してた以上に細かい部分まで質問されていてびっくりしました。そして誰に何を相続するのかも遺言者に答えさせていました。T さんによると、公証人によって意思確認の仕方が違うようで今回のように細かく遺言者に答えさせる方は珍しいとおっしゃっていました。
認知症ではない、しっかりした方なので心配はしていませんでしたが、『はい』と『いいえ』で答えるだけではなかったので、うっかり言い間違えたりしないかと少しドキドキしました。
無事確認が終わり、公証人による遺言証書の読み上げがあり、最後に自筆署名・捺印していただきます。
もちろん私たち証人も自筆署名・捺印をします。(このシーンは不動産の重要事項説明の雰囲気と似ていました^^)
遺言者は実印ですが、私たち証人2人は認印でOKです。身分証明書は原本を確認し、写真を撮られました。公正遺言証書は3通あります。原本には自筆署名と捺印、正本と謄本(原本と同じ内容が書かれている副本のようなもの)には氏名などは印刷されていて捺印もしませんが、公証人の署名捺印はされていているので原本と同じと認められていて、同じ効力があります。
正本と謄本それぞれ1通は遺言者へお渡し、原本は公証人が持ち帰り公証役場で保管されます。(Tさんによると遺言者が170歳になる年まで保管されるのだそうです!)
今回はじめて実際の公正遺言証書の作成の流れを【証人】という立場で体験できました。とても勉強になりました。ご相談いただいたお客様には感謝いたします!
公正遺言証書は効力が強いので、ご遺族の方が死後事務で金融機関での名義変更をされるとき等とてもスムーズに手続きが進められるのだそうです。
仕事柄、ご高齢の方とお話することが多いのですが、皆さんご家族には迷惑かけないように最期を迎えたいとおっしゃいます。迷惑をかけないのも大事ですが、ご自身の意思をきちんと伝えておくという意味でも遺言書は大切だな・・・と今回あらためて実感しました。今回のお客様も1つ大きな仕事を終えてスッキリされたご様子でした。
あとは元気に長生きすることだけ考えてください!
とお伝えしました^^
直接の不動産のお取引ではありませんでしたが、お亡くなりになった後の不動産をどうするかのご相談から始まり、お客様の心配事の1つを解決することができて喜んでいただき、私は勉強ができてとても気持ちのいい仕事でした。
相続や終活に関しては各分野にそれぞれ詳しいプロフェッショナルが身近にいますので、協力していただきながら、慎重に進めるようにしています。なにかお困りごとがあればご相談ください。